空飛ぶ船は癒し舟

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健康に関して気になったことや、その他書きたいことを書くブログ

グリホサート(10)~セリアック病が急増していることの証左

 前回に引き続きこの論文を探求してみたい。

今回は「はじめに」の部分をいってみよう!

 

セリアック病の急増は診断技術が上がったせい?

 最近のセリアック病の急増は診断ツールが改善されたせいではないかと示唆する人もいるが、筆者らはこれを否定している。

 

その根拠はこちらのコホート研究だ。↓

『診断されていないセリアック病における増加した有病率および死亡率』

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2704247/

 

それはこんなコホート研究だよ

 この研究は、セリアック病と診断されていない人を対象にしている。

そして過去50年間で、セリアック病にかかる人の割合は変化したか?(罹患)、予後はどうか?(死亡率)を調べている。

 

 仮に割合が上がったとしても、みんな同じ現代の検査方法で調べているから診断技術の進歩のせいってことは無い。

 

研究方法はこんな感じ

 以下の3群を比較検討している。

 

①WAFBコホート:1948年から1954年にかけて血清が採取され凍結保存された健康な若い男性の大きなサンプル

 

②現代コホート群(50歳以上の高齢群):①群と誕生年が同じ現代人サンプル(同性)

 

③現代コホート群(18-49歳の若年群):①群と同じ年頃の現代人サンプル(同性)

 

 ②群は、①群と同世代の人たちだから、だいたい同じ有病率なら特に問題はないはずだけど、結果はどうかな?

 

 ③群は①群と違う世代だけど、同じ年頃の人たちだから、時代ごとの変化が見れるよね。はたして現代人の方が有病率が高いんだろうか?どうだろうか?

 

気になる結果は?

①WAFBコホート:9133人中、未診断のセリアック病は14人に見つかった。これは652人中1人の割合

 

②現代コホート群(50歳以上の高齢群):5,558人中、未診断のセリアック病は46人に見つかった。これは121人中1人の割合

 

③現代コホート群(18-49歳の若年群):7210人中、未診断のセリアック病は68人に見つかった。これは106人中1人の割合

 

診断されていないセリアック病の有病率は、現在の高齢者のコホートでは4倍、若い現在のコホートではWAFBコホートよりも4.5倍高かった(Cochran-Mantel-Haenszel検定ともにP ≦0.0001) )

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2704247/より

 

 つまり ②群は①群の4倍、③群は①群の4.5倍高い有病率だそうだ。

同世代の人たちでも、この50年間で4倍に増えているんだね。50年前と現在の同じ年頃の人を比べても4.5倍に増えている。たった50年間で4倍以上増えるってすごいよね。

この50年の間に一体何があったんだー!<(ll゚◇゚ll)>!!!

 

という訳で気になる結果のまとめ

米国でのセリアック病の罹患率は、過去50年間に4倍以上に劇的に増加した。

これは最近のヨーロッパの研究の発見とも一致しているそうだよ。

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急増した訳について研究者の見解

 このコホート研究をした研究者らは、時間の経過とともにセリアック病が増える原因は不明とするも、「環境問題に対応した人間の遺伝的変化は非常に遅いため、量的、質的、または穀類の加工などの環境変化が考えられる可能性が最も高い」って言っている。

 

 50年の間に、ヒトが急にセリアック病にかかりやすい体質になったりする訳ないから、環境変化が一番怪しいぜ!って訳だ。

 

 環境変化っていっても幅が広すぎだけど「過去40年間に、小麦の遺伝学、パンの加工、および小麦プロラミンの酵素的修飾のいくつかの主要な変化が、食品加工の結果として起こっている」と言及しているから、まだ証拠はないものの穀物の影響に注目している。

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つってもセリアック病って少数なんでしょ?

 もしかしたら、「そもそもセリアック病の患者はそんなに多くないでしょ?大げさに騒ぎすぎじゃない?」って思う人もいるかもしれない。

 

そんな人にはこちら!→『欧州のセリアック病患者は250万人と推定、決して少なくない

 

 2007年の段階で決して少なくないと言われている。「欧州と米国で集団検診を受けた人のデータから、住民の150人に1人の割合でセリアック病患者がいるとする信頼できるデータが報告された」とも述べている。

 

 最近は決して少なくないようですぜ。

 日本も食生活が欧米化しているし、診断されていない潜在的な患者数は少なくないかもね。

 

てな訳でグリホサートの話題に戻ろう

 とまぁ、上記のコホート研究を背景にして、『グリホサート、現代病への経路II:セリアックスプルーおよびグルテン不耐性』の筆者らは、現代におけるセリアック病の急増は、検査技術の進歩によって診断される人が増えたからじゃないって言っているんだね。

 

 ちゃんと科学的視点から物を言っているから、納得だなこれは。

 

 そういう可能性を排除した上で、セリアック病の急増は、グリホサートが最も重要な原因因子だよって言ってる。

どういうことなのかもうちょと詳しく探求してみよう!(@`▽´@)/

 

てな訳で、つづく。(なげーな)