餅による窒息事故について~現状把握と予防と応急手当て
この時期必ず見るニュースのひとつに餅の窒息事故がある。
2018年の東京は以下の状況。
正月の三が日に、東京都内では餅をのどに詰まらせた男女18人が病院に運ばれ、うち2人が死亡しました。
毎年見るけど、どこか人事で通り過ぎてきた。
ここらでひとつ立ち止まって調べてみよう。
月別の搬送人数
冬はお餅の窒息事故が多いと言うけれど、どれくらい発生件数が多いんだろう?
東京消防庁の過去5年間のデータによると、やはり1月が特に多い*1。
お餅に関しては、はやり年末年始に特に注意が必要なのは間違いない。
お餅以外の窒息事故も油断ならない
ちなみに、東京消防庁の資料を見ると食品全体の窒息事故は年間を通して発生している。
正月以外も遭遇する可能性は十分にある。しかも意外に多く発生しているから油断ならない。食品による窒息事故の発生状況等について(東京消防庁)
65歳を越えたらリスクはグンと高まる
過去5年間で餅などをのどに詰まらせて救急搬送された方は毎年100人前後おり、その多くの方が65歳以上の高齢者です。
どうやら65歳を越えたら、一段と注意した方がよさそうだ。
どう注意したらよいか?
高齢者の場合は、各自治体でも口腔機能や摂食嚥下の問題に取り組んでいるので、広報をチェックしたり、地域包括支援センターなどに問い合わせてみるとよいと思う。
口の衰え、早めに対処!
『オーラルフレイル』は、滑舌低下、食べこぼし、わずかなむせ、かめない食品が増えるなどのささいな口腔機能の低下から始まります。早めに気づき対応することが大切です。これらの様々な口の衰えは身体の衰え(フレイル)と大きく関わっています。
まだ高齢でない人は、生活習慣の見直しがおすすめ。
歯のと口の健康づくりのために歯科検診を受けてみよう。
食事の時、なるべくよく噛む習慣をもう一度見直おそう。
歯科健診を定期的に受けよう|歯医者さんに行こう!|日本歯科医師会
お餅による事故を防ぐコツ
お餅で死ぬこともあると分かっていても、食べずにはいられない。
もうDNAレベルで刻まれている伝統の食文化なのだ。
ならばどうしたらよいだろう?専門家の助言を調べてみた。
東京消防庁のよびかけ
①餅は小さく切って、食べやすい大きさにしましょう。
②急いで飲み込まず、ゆっくりと噛んでから飲み込みましょう。
③乳幼児や高齢者と一緒に食事をする際は、適時食事の様子を見るなど注意を払うよう心がけましょう。
④いざという時に備え、応急手当の方法をよく理解しておきましょう。
お医者さんのアドバイス1
1.食事前に会話などをして口の準備運動をしたり、スープなどでのどを潤してから食べましょう
2.餅はなるべく小さく切って、口の中で、しっかりとかんで、唾液と十分に混ぜながら食べましょう
3.口の中の分をすべて飲み込んでから、次の一口を食べましょう
お医者さんのアドバイス2
①お餅を小さく切る
志賀部長)「小さく薄く、5mm程度に切ってほしい」②とにかくよくかむ
志賀部長)「よくかむと唾液が出て口の中が湿り、くっつきにくくなります」③食べるなら汁物に入れて
志賀部長)「汁が口の中を湿らせてくれます」④ネバネバが少ないお餅を選ぶ
もち小麦、うるち米を使ったお餅も売られている⑤ひとりで食べるのは「ダメ、ゼッタイ。」
志賀部長)「助けてくれる人がいないところで、詰まってしまったら致命傷です」
栄養士さんのアドバイス
・餅は細かくちぎってから食べる
・飲み物は必ず用意する!
・よく噛むようにする
・餅が詰まりにくい調理法で食べる
きな粉など口の中の水分を持っていかれるような餅は、高齢になったら真剣に気をつけたい一品。
気をつけたいことまとめ
以上をふまえて自分だったらこんな風に注意したいと思うことまとめ。
私が65歳以上になったら注意したいこと
①小さく切ってから調理する
②ゆっくりよく噛んでから飲み込む
③飲み物や汁物で口を潤しながら食べる
④詰りにくい餅料理を作る
私の口腔機能や飲み込む力が衰えたら注意したいこと
①小さく薄く切る(幅5ミリ程度)
②詰りににくい素材にする
③高齢者用のレシピを活用して食を楽しむ
今からしておきたいこと
①よく噛んでから飲み込むクセをつける
②飲み物を用意するクセをつける
③口の健康を保つ努力(オーラルケア)
④応急手当を知っておく
応急手当を知っておく
窒息した場合、数分で命にかかわる。
いざとなったらパニックになってしまうかもしれないけど、大事な家族の命がかかっているのだから知っておくことも大事だろう。救急車が着くころには手遅れになってしまうこともあるのだから。
プロによるガイダンス
①まずはこちらで全体の流れを確認↓
②そして上記の流れを動画で確認↓
③こちらは佐倉消防署の 救命救急コーナーより。消防士さんの実演写真と解説で、分かりやすくまとまっていた→異物除去。
④赤ちゃんの誤飲による応急処置
⑤幼児の気道異物を除去する方法 背部叩打法と腹部突き上げ法
応急手当まとめ
最後にもう一度復習。(東京消防庁の広報を参考にした)
①チョークサイン
窒息を起こし、呼吸ができなくなったことを他の人に知らせる世界共通のサイン。東京消防庁<広報テーマ(2017年12月号)> より
②「大丈夫?」「咳き込める?」と声をかける。
- 咳き込めたら、できる限り咳をさせる。
- 咳き込めなくて窒息⇒年齢・性別に関係なく実施可能な背部叩打法(はいぶこうだほう)を行う。
③反応がないor反応がなくなったらただちに心肺蘇生
できることなら応急手当の講習を受けているにこしたことはない。
怖いからプロにお任せしたい気にもなる。
しかし、もしも家族が食事中に窒息したら、プロの到着を待っていたら手遅れになってしまうこともある。チョークサインに気づいたら、咳をさせたり、気道を確保して背中を叩いてあげることを思い出したい。
詳しくはこちらで確認されたし↓