【グリホサート22】~農薬の残留基準値はどうあるべきなの?(2)
(1)の続き。
さて、国ごとに農薬の残留基準が設けられている訳だけど、
仮にA国とB国の残留基準を比較してA国の方が厳しい基準だったとしよう。
厳しい基準の方がより安全で、B国の方が緩いから危険なんじゃないか!?
みたいに単純な解釈でいいのだろうか?
果たしてB国の基準は安全なのかどうか?どう判断したらよいのだろう?
以下「 健康リスク管理のための世界的農薬基準値の検討:レビュー」の4章5節 「農産物において広く使われている農薬の推定暴露量の分析」から。
数学とか統計とか見ると思考停止してしまう私には辛いものがあるが、頑張ってみよう。
残留基準値は安全か?
MRL(Maximum Residue Limit)は農薬の残留基準値。
最大ここまでなら残留していても健康に悪影響がないという限界値のこと。
MRL(残留基準値)は多くの国で規制されている。
しかしその値は本当に安全なのだろうか?
国内もさることながら外国の基準値って大丈夫なの?
輸入食品の農薬残留量とか不安になるよね。
どれくらい曝されるか?
それに食べ物って、たまにしか食べないものもあれば、よく食べるものもある。
食べれば食べるほどそこに残留している農薬にさらされる。
私たちが何をどれくらい食べるかは、いろんな条件によって変動する。
(季節、地質学、文化、個人習慣、経済的状態、作物の収穫時期などによって変化する*1)
A国とB国では摂取量が違うかもしれない。
A国の基準値はB国の人にとっても安全?
たくさん食べても大丈夫?
誰にとっても安全な基準はどうやって決めたらよいのだろう?
どうやって確かめる?
この研究では、現在のMRL(残留基準値)が効果的かどうかを確認するために、
①MRLの値を用いて一日あたりどれくらい残留農薬を摂取していることになるかを推定し、
②ADI値(一日摂取許容量)と比較している。
推定暴露量(IED)の計算
ではこの研究ではどうやって推定暴露量(IED:implied exposure dose)を出しているんだろう?
①まず最も一般的に消費されている農作物の1日あたりの摂取量jを以下のように推定している。
②次にその推定摂取量jを基に、以下のように農薬の推定暴露量iを算出している。
この研究での計算結果は、平均成人体重70kgとEF 1.0 に基づいているとのことだ。
果たして、農薬の推定暴露量(IED)は、ADI(一日摂取許容量)の範囲内だったのか?
つづく。
参考文献
健康リスク管理のための世界的農薬基準値の検討:レビュー
Worldwide Regulations of Standard Values of Pesticides for Human Health Risk Control: A Review