象にガンが少ない理由が解明された
象にガンが少ない理由が解明された
AFPBB News(2015年10月9日)の記事によると、
アメリカの研究で象にガンが少ない理由が解明された。
興味深い研究なので自分なりにまとめてメモしておこう。
国際ニュース:AFPBB News http://www.afpbb.com/articles/-/3062664から一部引用。
論文の共同主執筆者で、米ユタ大学医学部(University of Utah School of Medicine)ハンツマンがん研究所(Huntsman Cancer Institute)の小児腫瘍医、ジョシュア・シフマン(Joshua Schiffman)氏は「論理的に推論すると、ゾウは途方もない数のがんを発症するはずで、実際には、高いがんリスクにより今頃はもう絶滅しているはずだ」とした上で、「より多くのp53を作ることが、この動物種を今も生存させている自然の方法だと考えている」と続けた。
さらに、がん化する危険性がある損傷した細胞を殺傷するための、より攻撃的な体内メカニズムが、ゾウには生まれつき備わっていると研究チームは指摘。このことについて論文では「隔離したゾウの細胞では、この活性が、健康な人間の細胞の倍になっている」と記されている。
象がガンになるリスクとガンによる死亡率の不思議
- 象の体は人間より圧倒的に大きい
- ゾウの細胞数は人間よりはるかに多い。
- そのため象がガンになるリスクは人間より大きいはず。
- なのにガンで死ぬ象は人間より全然少ない。
国際ニュース:AFPBB News http://www.afpbb.com/articles/-/3062664から一部引用。
ゾウの死因の膨大なデータベースを分析した結果、がんで死ぬゾウは全体の5%に満たないことが分かった。これに対し人間では、がんは死因の11~25%となっている。
なぜか?
国際ニュース:AFPBB News http://www.afpbb.com/articles/-/3062664から一部引用。
米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association、JAMA)に掲載された研究論文によると、ゾウには、腫瘍の形成を抑制するタンパク質「p53」をコードする遺伝子の一部が変化したコピーが38あるが、人間は、この種のコピーを2つしか持っていないという。
- より多くのp53を作ることで象は絶滅せずに今も存続している。
- またそれだけでなく、ガン化する危険性のある細胞を
破壊する体内メカニズムも備わっている。
p53とは?
がん抑制タンパク質 p53は遺伝毒性ストレスに応答して活性化し,細胞周期停止やアポトーシスを誘導して細胞のがん化を抑制している.
〔がん抑制タンパク質 p53の四量体形成、鎌 田 瑠 泉,坂 口 和 靖:生化学 第82巻 第6号,pp.484―493,2010〕
Tumor protein p53
By Thomas Splettstoesser - Based on atomic coordinates of PDB 1TUP, rendered with open source molecular visualization tool PyMol (www.pymol.org), CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1248114
おわりに
う~ん、象が地上に存在していることに今まで何の疑問も抱かなかったが、
もし上記のような抗がんシステムがなかったらとっくに絶滅してたのかと思うと、
生命の戦略、、、なんてすごいのかしら。
象だけに、うらやましいゾウ・・・(*` 艸 ´)ウシシシ
より副作用の少ない抗ガン治療法が開発されることに期待したい。