【グリホサート21】~農薬の残留基準値はどうあるべきなの?(1)
公的機関にADI(一日摂取許容量)的に大丈夫ですって言われたら、「はぁ、そうなんですか」としか言いようがない私だが、『ADI的に大丈夫なら本当に大丈夫なのか?』とも思うんだな。
農薬の基準値はどうあるべきなのか?
世界各国の農薬基準値を検討した研究があったので学んでみたい。
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健康リスク管理のための世界的農薬基準値の検討:レビュー
Worldwide Regulations of Standard Values of Pesticides for Human Health Risk Control: A Review
データについて
この研究では、世界中の農産物における農薬残留基準値を検討している。
世界中といっても、地球上の全ての農産物を調査している訳ではない。
まずはどんな情報が使われているのか確認しておこう。
情報源
世界各国の農産物における農薬の残留基準値はここから収集された。
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グローバルMRLデータベース(2014)・・・少なくとも90カ国と多国籍機関を含むデータベース。
使われたデータ
上記のデータベースには数百の農産物や農薬のデータが存在する。
その中で、世界的に最も広く使用されている農薬と最も消費された農産物が選択された。
それらは以下の様な主要な農業国のデータに基づいている。
中国、インド、フィリピン、ドイツ、英国、カナダ、米国、メキシコ、コスタリカ、ブラジル 、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ。
CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=682988
世界で選ばれし14種の農薬
2,4-D、アルジカルブ、アトラジン、クロラタロニル、クロルピリホス、ジアジノン、ジカンバ、ジウロン、グリホサート、マラチオン、マンコゼブ、MCPA、メトラクロールおよびトリフルラリン。
世界で最も消費された農産物
・穀物(トウモロコシ、小麦、米)
・野菜作物(トマト、タマネギ、およびジャガイモ)
・フルーツ作物(リンゴ、バナナ、ブドウ、オレンジ)
・飲み物(コーヒー豆、茶葉)
除外されしもの
肉および乳製品を消費した場合の農薬暴露は、この研究では議論されない。
理由は3つあるようだ。
①エサや周辺の環境を通して体内に入った農薬が牛や魚などの肉製品や酪農製品に残留している可能性は確かにある。しかし、農産物の方が農薬を直接浴びているため暴露量が高い。
②家畜に蓄積される農薬の量は、常に飼育環境、飼料、および動物の代謝に依存する。
③肉を消費することによる農薬暴露より、農産物からの農薬暴露の方はるかに高い。
という訳で、この研究では農産物に的をしぼって農薬の残留基準を検討することにしたようだ。
つづく。