【グリホサート24】~農薬の残留基準値はどうあるべきなの?(4)
(3)のつづき。
引き続き「 健康リスク管理のための世界的農薬基準値の検討:レビュー」の4章5節 「農産物において広く使われている農薬の推定暴露量の分析」の図7から。
農産物の残留農薬、その推定暴露量はADI値(一日摂取許容量)を超えていたのだろうか?
推定暴露量(IED)とADI
前回、2,4-Dおよびグリホサートが使用された農産物から計算されたIED(推定暴露量)がプロットされている図を引用し紹介した。
○・・・2,4-D(2,4-ジクロロフェノキシ酢酸:除草剤の一種)のIED
◆・・・グリホサートのIED
データ数は両方とも91。
グリホサートの推定暴露量
今回は、グリホサートに焦点を絞り、さらに詳しく見ていこう。
◆←この印に注目だ。グリホサートの推定暴露量(IED)がプロットされている。
グリホサートの推定暴露量のデータは91件(n=91)。
小さいものから大きいものへ順番にプロットされている。
なので横の棒グラフとして見てみよう(灰色で塗ってみた)。
IED(推定暴露量)は横軸の値を見る。
ADIを超えるもの
この中で、グリホサートのADI値0.1 (mg/kg/day)を超えるデータを濃くしてみた。
おお、なんかけっこうADI超えてるんじゃない?( ̄ー ̄;
ADIを超えるのはどれくらい?
どれくらいの割合なのか詳しく見てみよう。
下図の縦軸に0~1までの数字がふってある。ここから割合が分かる。
薄いグレーと、濃いグレーの分け目(点線)は0.55だ。
なので1から0.55を引けば濃いグレーの割合が分かる。
1-0.55=0.45
グリホサートのADI値0.1 (mg/kg/day)を超えるデータ(濃いグレーの部分)は、全体の45%を占めている。
具体的な件数でいうと91×0.45=40.95≒41件。
91件中、41件はADI 値超え(0.1mg/kg/day)ということ。
ただ日本の現在のADI値は1mg/kg/dayなので、それだとセーフってことになる。
なにか釈然としない。
0.1mg/kg/dayと1mg/kg/dayじゃ10倍も違う。
前回も0.1mg/kg/dayというADI値について調べたが、やっぱりまだ腑に落ちないからもう一度調べてみた。詳しくは次回に書こうと思う。
科学ってなんじゃ?
「科学的に○○以下なら問題ないと言われている」だから大丈夫だと本当に言えるだろうか?
各国の研究機関が発表している結果を鵜呑みにしていいのか?
米国EPAのグリホサートのADI値は、約19年(1979年~1998年頃)の間に0.05→0.1→1.0→2.0(mg/kg/day)と40倍も緩和されている。
科学の発展とともに農薬残留基準値が40倍も緩和されるってあり?
『健康リスク管理のための世界的農薬基準値の検討:レビュー』で採用されている0.1mg/kg/dayというADI値と、日本の1mg/kg/day、信頼できるのはどっち?
つづく。
参考文献
健康リスク管理のための世界的農薬基準値の検討:レビュー
Worldwide Regulations of Standard Values of Pesticides for Human Health Risk Control: A Review